先日、アメリカ最高裁の旧鎮保守判事2名が2015年にアメリカで同性婚を可能にさせた判決を厳しく批判しました。
アテシを含めてLGBTQ+の団体もこの意見には若干の恐怖を感じています。
2015年にアメリカで合法となった同性婚
アメリカで同性婚が合法となったのは2015年6月26日にアメリカの最高裁が下した判決からです。
9人の判事が5-4で同性婚を合法としました。
当時、引退したケネディ判事の意見文を読んでアテシは涙を流しました。
要約ですが、ケネディ判事はこう意見を述べています。
同性愛者の婚姻を否定することから発生する恥辱や侮辱を法で守る義務がある。合衆国憲法は州法で同性婚を禁止することを許していない。この法廷は「婚姻」と言う一般的に認められた権利を同性愛者にも認める。
反対意見
2015年に反対意見を書いたのは次の判事4名。
ロバーツ判事、スカリア判事、トーマス判事、そしてアリルト判事。
ロバーツ判事の反対意見は次のようでした。
私(ロバーツ判事)は、同性婚ではなく、国民が国民の声そしてその代表(議員)を通して(議会)法律を作り、その作られた法律について判決を下すプロセスを省き、選ばれた判事9人の意見で法律を作った形になったこの判決を激しく否定する。
「婚姻の自由」は法で定められた権利であることは動かない事実。ただ、「婚姻」の定義については議論の余地が十分にある。
反対意見は、「プロセス」、「婚姻の定義」と「宗教の自由」について語られています。
スカリア判事に至ってはケネディ判事の賛成意見文を「フォーチュン・クッキー1の不可思議な格言のようだ」と皮肉っています。
同性婚を合法にした最高裁意見を激しく再批判
先日、トーマス判事そしてアリルト判事が2015年に同性婚を合法にした最高裁の意見を再度厳しく批判する意見を発表しました。
今年最高裁が最初に開廷した際の出来事です。
2015年同性婚が合法になった当時ケンタッキー州の郡庁で勤務していたキム・デービスさんは、彼女の信仰する宗教を理由に同性婚に反対しゲイカップルの婚姻届の受理を拒否。
逮捕され牢獄に送られます。
彼女は宗教の自由をベースに訴え、5年かけて最高裁での判決を煽ることになりました。
最高裁は彼女のケースを退けました。
旧鎮判事2名が2015年の最高裁の意見を激しく再批判した原因です。
激しく批判する理由
大きな理由は、2015年の判決は「民主的なプロセスを踏まずに9人の判事が決めた」とトーマス判事を始め保守的な判事4名が今でも納得していないことです。
その中で、最高裁は「宗教の自由」を軽率に扱った結果になったと述べています。
今回のキム・デービスさんのケースは最高裁が軽率に扱った宗教の自由の最初の餌食だとも皮肉っています。
トーマス判事は退けた理由をこう語っています。
最高裁が彼女のケースを退けたのは、2015年の判決が作り出した問題を正しく持ち出していなかったからだ。
特にLGBTQ+法律関連のアナリストたちは、今後最高裁がLGBTQ+そして宗教の自由に関わる裁判にどんな判決を下すか「不吉なメッセージ」を出したと危険信号を出しています。
さいごに
どこかの法律分析でも読んだのですが、最高裁が2015年の判決を覆すことはないと思います。
最高裁の判決を仰ごうとしている今後の案件に大きな悪影響を及ぼすことは必然的だと見ています。
女性の人権に大きな影響力を与えたギンズバーグ判事が亡くなり1ヶ月も経たない中、その欠員を保守的判事で埋めようと必死なアメリカ政府。
一見公平のように見えるアメリカの最高裁ですが、判事の政治的観念、宗教的信念、など人数分配によって中立性も欠けてしまう現実は仕方ないものなんですね。
人が人を裁く法廷。
憲法や法律に書かれた一字一句をどう解して裁くのか。
法や法廷って一体何なんでしょうか。
最近アテシの中で悶々としています。

- 北米の中華料理店で食後に出るクッキー。クッキーを割ると中に小さな紙が入っていて、そこに面白おかしな格言やラッキー番号などが書かれている ↩︎
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