ケベック州はとうとう政治的に怖い方向に移行しようとしていると強く感じています。
今回法案で討論されている『Bill 96』について、ケベック州自由党(QLP)は反対することを正式に表明しました。
この『Bill 96』を簡単に要約してみたいと思います。
誰が英語を話せるかの定義
Bill 96では、政府機関が英語で応答出来る人を『英語の学校へ通える人だけ』とし、個人のネイティブ言語が英語であるかは関係がない。例えば、アメリカ人がケベック州に移民した場合、ケベック政府はこの個人とは仏語でしか応答しないことになる。移民でケベック州にいる人は全て仏語の学校に通う法律だから。
職場で仏語以外の言語で会話をしたら罰金
職場で同僚と仏語以外での会話をしたら罰金。容認している会社は最悪ケベック州でのビジネスライセンスを没収される可能性も。25人以上雇用している会社となっているけど、殆どの中小企業は当てはまることになる。今まで、英語で気軽に話せていた同僚と突然仏語で会話も不自然だし、お互い日本人で日本語で話をしていたのをお互いにまともに話せない仏語で話せってこれは一体何様のつもり?
英語での教育を規制
職場で話す言葉だけでは物足りないらしく、英語の大学へ入学することが出来る人口も制限するこの『Bill 96』。
仏語を母ヶ国語とする人口は英語の大学へ入学出来なくなります。
教育の自由は無くなるんですね。
政府が職場の電話やパソコンを没収出来る
職場でのコミュニケーションが仏語でされているか確認するために政府が職場のパソコンや電話・携帯を没収出来るようになる。こんな事が民主主義の国で起こって良いの?これじゃ丸でロシアの政府が反政府のメディアを潰すのと同じでしょ?
英語でのコミュニケーションを拒否出来る
多くの市町村で英語での告知を拒否することが出来るようになる。災害や事故なので緊急事態が発生した際も英語でのコミュニケーションを市町村レベルで拒否しても良いことになり、英語だけで生活して来た年配の方々の被害が懸念される。
司法サービスの複雑化
英語圏の人たちが司法サービスを活用しようとしても、書類を仏語に訳し、通訳を使うなどする必要が出てくるので、時間やコストが別途必要となる。
人権や自由を無視した法案
『Notwithstanding clause (先制条項)』が使用されるため、州民が各自の人権や自由を法的に守ることが出来なくなる。
ビジネスがしづらい環境
Bill 96が法律になった場合、Office de la langue française (別名:Language Police 言語警察)が法律に準拠していると見なされない企業のリストを公開。 政府は彼らとの取引を拒否したり、公的助成金や補助金を提供を再検討することが出来る。
人権よりも議会に主権が移る
Bill 96は、フランス語憲章をケベック州の法的秩序の最上位に置くことになり、他のすべての州法よりも優先されることになる。 そして、ケベック州民の個人の自由と法的権利を無効にする結果になる。 民主的な統治を確保するために立法府の権限に課せられた法的制約を取り除くことにもなる。
言語権利に関して司法の役割が排除
Bill 96の下では、裁判所ではなく議会が、集団的および個人の権利と自由の間のバランスの唯一の仲裁者になる。 これは法律を解釈し、ケベック州民個人の自由と法的権利を保護する上での司法の役割が抹殺されることを意味する。
さいごに
やっぱりこの州からは撤退するのが一番かも知れないですね。
自分の働いている会社にも話を始めています。
海外投資でケベックで経営している会社内で全てのコミュニケーションが仏語で行われることは有りません。
そして不可能です。
政府の一声で社内のパソコンや電話・携帯が没収される様なところではマトモな企業経営は出来ません。
仏語だけでは世界のビジネスワールで活躍出来ないと英語を学びたい学生にも英語での教育を拒否する政府。
英語を州から抹殺しない限り終わらないんだと思います。
残念で仕方ないです。
コメント
コメント一覧 (2件)
鎖国ですか?正気で作った草案だとは思えないのですが・・・。
言語も含め文化を守るのは必要だとは思いますが、明らかに異文化を排除する感じですね。
異文化を排除して繁栄した国は歴史上ないんですけどね。
Giroさん、こんにちは。
コメント今日もありがとうございます。
本当に『異文化を排除する』その通りの法案です。
今の議会だったらこれが可決される可能性が90%以上あるので殆ど諦めていますが、はらわた煮え返るって噛み締めています。
アメリカではLGBTQ+の人たちの人権が再度危ぶまれているし。
一体世界はどう変わっていくんだろうかって不安で仕方ありません。