カナダの中で仏語だけが公用語に定められているはケベック州だけです。
その反面、歴史上、英語を母国語とする人口もこのケベック州には多く住んでいるのも現実です。
カナダではケベック州以外のでは英語を公用語としているのも事実1。
南のアメリカ、東西にある英語圏の州に囲まれ、『仏語を英語から守らなければいけない』とケベック州も必死です。
コロナの感染対策で忙しい中でも仏語を守る法律の政策には必死だったケベック州当局。
先日、仏語を守る新しい法案『Bill 96』が提出されました。
今日はそのキーポイント9つを簡単に説明したいと思います。
1. 国家の言語政策
州の機関で仏語以外の言語を使用出来る方針について定めているそうです。
同時に、仏語の質を統制するため、ヴォーカル付きの音楽も政府機関で使用されているバックグラウンドミュージックについても規制することを推薦しているそうです。
2. カナダ国憲法に2条項を追加
カナダ国憲法に次の2つの条項を追加することを推薦しています。
- ケベック州は国家である。
- ケベック州の公用語はフランス語である。
3. 自治区での2か国語容認規定の変更
この新しい法案では、現在自治区に認められている2か国語容認の規定を新しく更新するようになっています。
統計の結果で英語を母国語する人口が50%未満に落ち込んだ場合、2ヶ国語使用は否定されることになる。
ただ、この法案が可決されてから120日未満に申請すれば現状の2ヶ国語の使用は容認されるそうです。
4. 仏語保守の権限を持つ州機関
ケベック州移民局にも『ケベック州の仏語化』を掲げて仏語教育のサービスを提供することが挙げられています。
州内での仏語使用をモニタリングする仏語の言語コミッショナーと言う新しいポジションも設立。
OQLF(the Office québecois de la langue française)別名:仏語ポリスに更なる権限を与えることが推薦されています。
5. 新しい移民者は最低限の仏語を要求
移民して6か月後の政府とのコミュニケーションは基本的に仏語だけ。
但し、仏語以外でのサービス提供の需要量が正当化出来る場合のみ、移民者への仏語以外でのサービス提供が許可される項目も追加されているそう。
6. 裁判官、議員の2か国語必須を除外
州が任命する裁判官に2ヶ国語が話せないといけないと言う条件を除外。
ケベック州議員にも2ヶ国語を話す必要性を除外するそうです。
7. 25人以上の従業員→仏語化委員会
現行100人以上の従業員がいる場合は、社内に『仏語化委員会』を設置。
マネージメントと仏語ポリスに報告する義務があります。
新しい法案では、25人以上からに適用されるそうです。
8. トレードマークにも
トレードマークが仏語でないビジネスも看板やサインを仏語が優勢なものに変更することになっているそうです。
例えば、カナダで有名な『Canadian Tire』と言う小売店の場合、『centre de rénovatio』のよう言葉をトレードマークの商店名より大きく全てのサインに付けることになるとか。
9. CEGEPにも制限
英語のCEGEP2に入れる仏語圏の生徒数を制限する事が挙げれらています。
CEGEPを卒業した事を証明する、DECと呼ばれるDiploma of College Studies (卒業証書)を、ケベック州に住んでいて仏語の読み書き能力が高等教育大臣が定めるものに満たない生徒には発行しないことも含まれています。
CEGEP終了には州で統一された仏語テストを作って能力を評価する仕組みも紹介されています。
さいごに
仏語が話せない = 差別を受ける
今まで起きて来た事ですが、これ以上悲しい事件が起きないようにしてほしい。
本当に切に願います。
『仏語を守りたい』『仏語が守らないといけない』
意図は間違っていなくてやり方を間違えると差別化の武器となって無造作に人が傷付けられることになります。
上手く説明できないけど動画で過去の事件をアップします。
先ずは観光客が英語で話しながら街中を歩いていたら・・・
これはごく最近の動画。
英語を主として育ったケベック出身の女性2名がマクドナルドのドライブスルーで英語を話したらサービスをされなかった。
そして英語しか話せなくて医療ケアを受けれなかったってニュース。
古い動画です。
病院で英語でのサービスを拒否されたと言うニュースは別にもあります。→ こちら
フランスの様に歴史上常時仏語だけが話されていた国と違い、ケベック州は常に英語圏の人と共存して来た場所。
それだけに、英語 Vs. 仏語 なんて子供じみた争いにして欲しくない。
いつも思うけど一つのグループに優越を与えるのって間違っていると思うんですよ。
それが差別だから。
やりたい事はすごく共感出来るし、そう思うのも必然的だと賛成出来る。
でも、このやり方は賛成出来ないです。
仏語ポリスにお金を使うくらいならそのお金を言語教育のサポートに繋げて欲しいですよ。
企業のトレードマークは、その会社の顔です。
誰かにとやかく言われる筋合いはないですよ。
そこにお金を使うくらいなら、そのお金を言語教育のサポートに繋げて欲しい。
仏語が不得意な社員が生計を気にせずに仏語の教育サポートを受けれる様に企業にサポートを送って欲しい。
多くの仏語圏の生徒が英語を勉強し成功する道をどうして政府が潰すんですか。
海外の企業誘致にお金を使うくらいなら、その半分でもケベック出身の企業をもっとサポートに回したらどう。
差別化じゃなくて底上げ。
アテシはそう考えます。
- New Brunswick州は英語と仏語両方を公用語としている唯一の州です。 ↩︎
- CEGEP:collège d’enseignement général et professionnelの略。カナダ・ケベック州特有の学制に基づく大学基礎教養機関(所謂 予科大学)のこと。 ↩︎
コメント
コメント一覧 (4件)
英語と仏語って文法も発音も全く別物だから大変そう。。。
西語、伊語話者なら気合いでどうにかなりそうだけど
なんだかそんなに意固地にならなくてもって思っちゃいますね。
Giroさん
コメントいつも有難うございます❣️
本当にもう数十年住んでいますが未だに仏語は苦手です。
出来れば使いたくない〜w
意固地になっちゃっている感じ本当にするわぁ〜。
最初の動画は約10年前で今がどうなのかは正直言うとわかりませんが私が感じた事を書かせて下さい。フランス語で話す英語で話す問題より根深いものがあると感じました。動画内で怒ってる男性が仮に酔っていたとしても人として可哀想な人でダメダメです。あの怒ってる人はアジア人(日本)に対する人種差別がベースにはあって普段から言ってる言葉なのだと思いました。何十年が過ぎても人種差別はあります。ケベックだけの問題ではなくアジア人が人種差別を受ける事がなくなる日がいつか来ると信じた時もありました。ただ1人が頑張っても解決せず現実はアジア人同士ですら人種差別をしているので簡単には無くならないのかもしれません。私は区別や差別が社会で無くならなくても自分が生活する中だけは区別も差別も無く在り続けたい。そう思っています。
ecoplaceさん
素敵なコメント有難うございます❣️
仰る通り言語がいいこじ付けになってしまっていることもあると思います。
差別は人種だけでなくても、性別、階級や身体障害など、身の回りに多く存在しています。
私たち一人ひとりがその存在を認識して個々が変わろうとしない限りなくなることはないと思います。
大きな事は出来ませんが少しずつ自分から変わろうと思います。