昨日の続きです。
2015年にアメリカ最高裁が同性婚認めないのは違法と判決をおろしたのに、何故アメリカ議会が同性婚を認める法律を作る必要があったのか今日は出来るだけ簡単に説明したいと思います。
DOMA
1996年にアメリカ連邦政府が可決した法律で【Defence of Marriage Act (略:DOMA)】と言うのがあります。
当時、ハワイ州で同性婚を認める法案が大きなイシューになっていました。
可決されると言われていましたが、残縁な事に、ギリギリで可決されませんでした。
でも、多くの州が同性婚を認めるか否かで大騒動になりました。
DOMAは、婚姻を男性と女性との間の婚姻だけと位置付けたものでした。
2015年最高裁はこの法律を違憲とする判決を下し、同性婚が事実上合法になりました。
保守派優勢の最高裁
アメリカの最高裁は現在9名の判事で成り立っています。
第45アメリカ大統領ドナルド・トランプは4年の任期中に最高裁判官を2名も選任しました。
Brett M. KavanaughとAmy Coney Barrettの2名です。
この2名がリベラル派の裁判官2名の代わりになりました。
最高裁判官は、政党に影響されることなく、両立の立場で無いといけません。
判事各々の政治的信念・思想については、上院議員との審議応答である程度分かってきます。
嘘ばかり答えているけど💢
現在の最高裁は、保守派と言われている判事が6名、リベラル派と言われている判事が3名で明らかに保守派優勢と見られています。
Roe v. Wadeが覆された
このケースは1973年に最高裁が中絶を認めた判決です。
この判決を導いたのはアメリカ合衆国憲法修正第14条です。
南北戦争後に成立した3つのアメリカ合衆国憲法修正条項(レコンストラクション修正条項群)の1つであり、元奴隷の権利を確保することが意図されたものである。これには適正手続条項や平等保護の条項が含まれている。
この憲法がどう引用されたのか簡単に説明します。
- プライバシーの権利について憲法では明確に書かれていない
- ドュープロセス(適正手順)なしに人の自由を奪うことを禁止しているのが修正第14条
- 従って、プライバシーの権利は憲法上の権利と説ける
- プライバシーの権利に、女性が中絶を選択する自由も含まれる
2022年6月、保守派優勢な最高裁は憲法に書かれていない事を裁判所が勝手に好きな様に読解するべきでは無いと、この判決を覆しました。
理論的には、間違っていないとも思えます。議会が民意に沿った法律を作り、法定はその法理に沿って議論されている事に対する是非を判断すると言うのが、保守的な最高裁のスタンスです。法律に書かれていない事を意訳しないと言っている感じです。
プライバシーの権利
この【プライバシーの権利】が憲法に書かれていないので、連邦の法律としては成り立たないとの判決を受けて、この判決を元に決められた多くの権利が失われると多くのLGBT団体やリベラル議員が恐れ始めました。
- 避妊
- 同性婚
- 異人種間の婚姻
避妊薬やコンドームを買う自由まで失う可能性があるってこと💧
Respect for Marriage Act
保守派優勢の裁判所が、Roe v. Wade同様に、2015年の同性婚を合法とした判決を覆すことを恐れたアメリカ議会。
先ずは、DOMAを書き直すことで、同性婚を連邦で認める法案を作りました。
それが、今回両議会で可決された『Respect for Marriage Act』です。
- 全州が同性婚を認める必要はありません。
- 同性婚が合法とされている所で行われた婚姻は、認めないといけません。
- 宗教を理由に同姓の挙式やサービスを拒否することが出来ます。
さいごに
最高裁が未だ2015年の判決を覆していないので、この法律は現在のところ一旦机上の便宜状態です。
今後もし最高裁が2015年の判決を覆し、この法律が実際に利用される様になって初めて法的にどんな威力を発揮するのかが試されます。
アメリカの事です。
恐らく、法廷で争われる事になりそうです。。。
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